統合失調症とうつ 時間遅延理論 My Theory

統合失調症とうつ 時間遅延理論
Ⅰ既知の事項のまとめ
1.統合失調症ではうつ状態が認められる例は多く、古くから指摘されてきた。しかもあらゆる病相で認められる。また統合失調症の場合に約10%は自殺する
といわれ、一般人口に比較して9〜30倍といわれている。統合失調症に際しては、うつ状態と自殺が直結するものもあり、統合失調症そのものが自殺と直結
するものもあり治療も異なるのであるが、すべての病期を通じて、自殺を防止することが重要である。
一方、うつ状態は、不眠、食欲不振、不安、意欲低下などと共に、一般に何かの不調の始まりのサインであることが多く、疾患特異性は少ないと考えら
れる。
2.統合失調症患者がうつ状態を呈するとき、鑑別診断が重要である。
1)統合失調症前駆期のうつ状態。つまり、幻聴、させられ体験、被害妄想などが発現する前に見られるうつ状態である。これを統合失調症を基礎とするもの
と診断することは容易ではないが、相談時の年齢が30歳以下であること、遺伝歴があること、社会適応が悪いことなどが発見の手がかりとなることもある
。うつ状態の形をとることもあれば、うつ状態類似の統合失調症性陰性症状の形をとることもある。児童思春期の場合には疾患の鑑別も難しいし、薬剤に対
する反応が予測しにくいので治療も難しい。
治療としては男性は少量のSulpirideが使いやすい。女性の場合には高プロラクチン血症による副作用を考慮し、クロチアゼパムなどのベンゾジアゼピンを
用いる。遺伝歴が明白な場合にはSDAで開始する。統合失調症前駆期のうつ状態と考えたときにはSSRIなどの抗うつ薬は、自殺の危険を考えて使用しない
場合もあり、バルブロ酸などの気分安定薬で経過を見ることもある。精神療法としては、症状と距離をとり対象化することを目標とする認知療法がよい。
2)統合失調症急性期におけるうつ状態。つまり、幻聴、させられ体験、被害妄想とともに見られるうつ状態である。統合失調感情障害の可能性も考える。こ
の場合には原則として充分量のドパミン遮断薬が有効である。病識が残存する場合、二次的に抑うつ状態を呈することもあるが、その場合も、抗精神病薬で
対処する。精神療法としては、寄り添うこととなる。しかし一方で、3)で記述するように、過量の抗精神病薬による悪性症候群-悪性カタトニア-うつといっ
た一連の類似症状があるので、これを鑑別したら、抗精神病薬は減量し、ベンゾジアゼピン高用量を用いて対処する。こうしたときのうつ様カタトニアに対
して抗精神病薬は増量しない方がよい。治療困難の場合にはECTも考慮する。ドパミン過剰または逆にドパミン遮断が引き起こすうつまたはうつ様の一群
があるのかもしれないと考えさせる材料である。
3)統合失調症急性期後のうつ状態は精神病後抑うつ(postpsychotic depression)と呼ばれているものである。これは疲弊性うつ状態と陰性症状、さらには薬
物性のうつ状態とに鑑別できるはずのものである。鑑別は実際には容易ではないが、疲弊性うつ状態の場合には疲弊に加えて病識の部分的回復も見られ、悲
観的、憂うつ、自責的であり、陰性症状の場合にはむしろ、意欲減退、興味喪失、無為、自閉などが目立つ。
統合失調症急性期後疲弊性うつ状態の場合には、抗うつ薬は有効、無効、有害の各説があるが、私見ではSDAとSSRIやアモキサピンなどを併用してよい
。ただし自殺には充分注意する。SDAとSSRIの併用に際しては、酵素の代謝の関係で、お互いに作用を強め合う点にも注意を要する。炭酸リチウムを加え
て有効との考えもある。
陰性症状の場合には、アリピプラゾールやブロナセリンなどのSDAを調節・変薬しながら経過を見る。
薬物性うつ状態の場合には高力価の第一世代ドパミン遮断薬を大量に使っている場合が多く、不快気分と活動性低下が主症状となる。SDAの方が薬原性
うつを起こしにくい。SDAが使用され始めた当初はawakening(めざめ現象)に注意すべきと言われた。認知が急速に改善し病識が回復すると、抑うつと自殺
の危険が高まることが理由である。現在は第一選択薬がSDAであるから、昔ほどの危険はないと思われる。
抗精神病薬がうつを引き起こすかどうかについては、結論は得られていない。しかし、抗精神病薬による悪性症候群は悪性カタトニアと似ているとの議
論があり、悪性カタトニアは高力価ドパミン遮断薬の大量投与時に多い。そしてカタトニアの症状としては無動・無言、姿勢固定などがあり、うつと重
なる。こうしてみると悪性症候群にならない程度の、マイルドなものの場合、カタトニアとうつは似たものになり、それがうつと診断されている場合がある
と思われる。その場合の対処は抗精神病薬の減薬、ベンゾジアゼピン高用量の使用、たとえばロラゼパム12〜8㎎などの数字が挙げられている。カタトニア
は従来、統合失調症の下位分類の一つとして言われてきたが、最近の調査ではうつ病に伴う場合が多いとの結果があり、重症の場合にはECT電気けいれん
療法が推奨されている。
自殺の危険を考えて抗うつ薬よりも気分安定薬としてバルプロ酸などの抗てんかん薬が使用されることがある。しかしFDAは2008年に抗てんかん薬自体
が自殺をリスクを高めると注意喚起し、それに対してはアメリカてんかん学会でメタ解析の方法などについて異議が提出された。FDAの注意喚起とは次元の
違う問題であるが、私見としては、量によっては意識覚醒状態に影響を与えることにまず注意すべきだと思う。そのほか、炭酸リチウムが推奨される場合も
ある。
薬剤によって引き起こされる症状として、アキネジア性抑うつと呼ばれるものがあり、活動量減少、無気力、無関心を主徴とする。主剤を減量または変更
するか抗パーキンソン薬を加えるかする。焦燥感を主とするアカシジアもうつ状態の焦燥感と似るが、これも同様の対処でよい。アカシジアに対しては
抗パーキンソン薬を推奨しないガイドラインもあり、別の本ではベンゾジアゼピンとβブロッカーを推奨している。
精神療法としては、病識回復にあたっての絶望と不安を受容支持することである。自殺について積極的に話題にし、些細なきっかけも見逃さない。必要
があれば入院を勧める。デイケア、通所作業所などの精神科リハビリテーションでは、患者の回復に合った課題を提案し、役割と居場所を提供し、自尊心
を回復させることができる。また、家族と一時的に距離をとることができる。治療者の方が早足になってはならない。
認知行動療法としては、認知の暗黙の否定的構え(スキーマ)があれば、それに対して働きかける。教育的観点からは、医学の発展もあり、社会の進歩も
あり、決して悲観する必要のないことを伝える。また、自分が今回急性期に至ったきっかけを分析することで、再発のパターンを知り、次回の増悪に備える
。また、統合失調症の長期経過を示すことによって、次の急性増悪の予防が大切であること、そのために継続的服薬が大切であることを理解していただく。
また、一定のレベルダウンのあった患者さんには、SSTを用いて、日常生活に支障の少ないよう工夫する。社会に関わり、焦らず着実に治療を進めため
には、家族の理解と協力が不可欠である。早い時期に家族に治療協力者としての役割を引き受けてもらう。各種の社会福祉制度の利用も大切で、年金や施
設の利用、また自助グループ(たとえばベテルの会)などで患者同士が啓発し合うことにより深刻な抑うつから免れることができた例も多い。
薬剤のアドヒランスを高めるためには漢方薬を併用することも方法である。精神安定のために柴胡剤(柴胡加竜骨牡蛎湯や柴胡桂枝乾姜湯また 加味帰脾湯
など)を中心にして、気を補う補剤(補中益気湯や十全大補湯)を用いたり、また不安に対して半夏厚朴湯、また女性の場合の生理周期と関係した不調に当帰芍
薬散、桂枝茯苓丸、桃核承気湯、などを病期に応じて最適なものを調整する。
4)疲弊期から回復しても統合失調性のレベルダウンが残り、うつ状態に類した病像を呈する場合を残遺期と呼んでいるが、環境刺激に弱いので、疎外体験
や孤立体験のあった場合や自殺念慮のある場合は入院治療も考慮する。SDAを調整して不足のある場合にはSSRIを加えることがある。
5)総じて、統合失調症の再発と自殺を防ぐことが第一目標となるが、QOLを改善することも大きな目標である。
Ⅱ背景となる仮説
初診でうつ状態を呈している場合、うつ状態は統合失調症を否定しないし、甲状腺機能異常や副腎皮質ホルモン異常などの身体病であることもあり、認知
症の始まりであることもあり、脳梗塞の症状であることもある。諸検査で身体病が除外されたら、年齢を目安にして、15から30歳ならば統合失調症と躁う
つ病の可能性、30-50歳ならばうつ病と躁うつ病の可能性、50歳以上ならばうつ病と認知症の可能性を考える。
遺伝歴は重要である。家族の雰囲気も重要である。病前性格についてチェックする。また、病前の社会適応についてチェックする。対人距離の取り方は
、その人の生来のドパミンレセプターの敏感さを反映しているだろう。敏感ならば対人距離を大きくとる傾向がある。
たとえばひとつのストーリーはこうである。その人は生まれたときからドパミンレセプターが過剰で過敏な性質であった。人と同じ体験をしても過剰にド
パミンを伝達してしまい苦しいので、引きこもりがちになる。家にいると自然に読書に親しむようになる。成績は悪くないので肯定される。このようにして
ドパミンレセプター過敏のままで成長し、過敏さを保ちながら、何とか破綻しないで生活する方法を身につけている。しかし思春期になり、異性に出会い、
社会での自分を生きるので、「金、色、面子、健康」などを主題にして過剰なドパミンにさらされ、内面の危機に直面する。性的場面や社会的序列を意識す
る場面でドパミンは放出され、非常に軽いとしても、自我障害が発生する。
ドパミンD2受容体仮説は1960年代からのもので、中脳辺縁系のドパミン神経過活動が陽性症状と関係し、中脳皮質系でのドパミン神経の抑制が陰性症状
や認知機能低下と関係するとする説である。黒質線条体でのドパミン神経抑制はEPSの出現に関係している。第一世代のドパミン遮断薬は中脳辺縁系を
ブロックして陽性症状を沈静化するが、同時に中脳皮質系をブロックするので陰性症状は悪化し、黒質線条体系のドパミンブロックでパーキンソン症状が現
れる。最近のSDAの例で言えば、ブロナセリンは中脳辺縁系ドパミン伝達を抑制し、中脳皮質系ドパミン伝達を促進するとの説がある。これは理想的なプ
ロフィールなのであるが実際には期待通りには行かない場合もある。アリピプラゾールはドパミン遮断と言うよりもドパミンシステムスタビライザーと言わ
れているが、これもまだ臨床的評価の途中である。両薬とも、従来薬薬に比較すれば、統合失調症の経過で見られるうつに対してはよい対策であるように
思う。クエチアピンやオランザピンはMARTAと呼ばれることがあるように、ドパミン、セロトニンだけではなく、さらに多種類のレセプター部分に作用し
て効果を発揮するので、患者の特性に応じたものが見つかれば有効である。症状の消長だけではなくQOLを改善する観点に立てばMARTAやSDAを活用し、
錠剤数と服薬回数を減らす方針もよい。
自我障害について考えてみる。動物の神経系は「感覚器で刺激受容」→脳の処理「自動機械」(無意識に反応している部分)→筋肉の反応→現実の結果→「
感覚器で刺激受容」というように現実と脳を両側においてループを形成している。これだけならば自意識は発生しない。「自動機械」だけが存在していると
表現してもいいだろう。
人間の場合、刺激を受容し、その出力としての筋肉の反応の間に、脳内の「世界モデル」を発生させ、行動の結果をシミュレーションする。そして、脳
内の「世界モデル」から出力された信号と、「自動機械」が出した実際の行動の結果の信号を、比較照合する。違いがあれば脳内「世界モデル」を訂正す
ることによって、さらに正確な予測ができるようにする。「世界モデル」そのものが現実とずれているとき、認知障害や行動障害となり、一部は性格障害と
なる。
「世界モデル」が現実を転写する機能は、運動における小脳の機能と似ている。また受動意識仮説の「リベットの実験」については多くの論文がある。
「世界モデル」からの出力と「自動機械」からの出力は、時間差があり、常に「世界モデル」からの出力が、比較照合部分に一瞬早く届くように調整さ
れている。このことから、能動感や行為の自己所属感が生じると私は仮説を考えている(「時間遅延理論」)。つまり、人間は「自動機械」部分だけで生きて
行くには充分であるが、「世界モデル」部分があることによって自意識が発生する。これは人間を強く特徴づけるものであるが、進化の最後に発生した部分
であり、壊れやすい。「時間遅延理論」でいうと、自由意志は錯覚であり、自我障害は錯覚が失われる苦しみということになる。
そもそも考えてみれば、各感覚器から脳の処理部位に信号が伝達されるのは同時ではない。しかしそれを同時であると見なして現実を構成している。同時
と見せるように時間調整をしている部位があると考えられる。その部分の障害を考える。
「世界モデル」からの出力が「自動機械」からの出力に遅れると、自我障害となり、遅れの程度によって、させられ体験、強迫性体験、幻聴、自生思考
などになる。これが統合失調症の急性期の事態である。例えば、幻聴は、自分で話そうと思ったことの出力が「自動機械」側が先になり「世界モデル」側か
らがあとになるので、他人が話している、聞きたくもないことを聞かされていると知覚することになる。
ドパミン遮断薬はその特性によって、「世界モデル」からの出力と「自動機械」からの出力のそれぞれを違う程度に遅延させる。もっとも強力な薬剤は
、両方とも大きく遅延させる。これが薬剤過量によるうつである。ある程度マイルドな処方にすると、「自動機械」からの出力はやや遅延させ、「世界モ
デル」からの出力は遅延させない程度になる。こうなると、自我障害は改善する。逆に、薬剤の特性によっては「自動機械」からの出力を遅延させず、「
世界モデル」からの出力を遅延させる。この場合は自我障害は改善しない。ブロナセリンのプロフィールはこの理論によく一致していて、中脳辺縁系と中
脳皮質系への効果の差と考えても、さらに前頭前野などへの効果の差もあるのかと考えてもよさそうである。アリピプラゾールも同様に中脳辺縁系でドパ
ミンを抑え、中脳皮質系でドパミンを増やすと言われていて、これも時間遅延モデルをよく補強する。
一方、SDAの効果としても、セロトニン系への関与が重要だと言われており、統合失調症のうつの場合にSSRIを加えるのが有効であり、逆に、うつ病の
場合に、SSRIだけで対処できない場合にはSDAを少量使って有効なことがある。さらに抗てんかん薬はグルタミン酸系やGABA系に作用して神経を保護し
ている。抗精神病薬も抗うつ薬も飲めば最初は眠くなり、そのことは脳神経を保護するのだろうと思う。
自我障害が続くとうつ状態になるが、疲弊性以外にうつ状態の説明があるかといえば、難しい。例えば、精神病極期にはドパミンなどのモノアミン系が使
い果たされて、モノアミン系枯渇状態にあるのだと説明することはできる。そのことを疲弊の実体だと考えてもいいだろう。そうであれば、ドパミン遮断薬
はマイルドに使い、セロトニン系抗うつ薬を重ねて使用しても意味がある。時間遅延性の症状にはドパミン系を、疲弊性にはセロトニン系をと考える。
自我障害が発生した場合の心理的外傷は大きく、充分に抑うつの原因となりうる。また、自分の現在と未来を考えて、悲観的になることも理解できる。こ
うした事情を含んで精神病後疲弊性抑うつと呼んでいる。この場合には、心因反応として、悲哀のエピソードのあとの抑うつともメカニズムは似ているし、
躁うつ病において、躁状態のあとの疲弊性のうつ状態ともメカニズムは似ている。しかし躁うつ病の場合には、疲弊性うつが終わったあとに、本質的なう
つ病が進行する。自我障害のあとには疲弊性うつが前景に立つ時期があり、そのあとは陰性症状が主となる。このあたりを微細に診察することで症候学とし
ての稔りがあるかもしれない。治療としては、この場合もセロトニン系の調整を眼目とする薬剤を用いてよい。自殺には充分注意し、面接の感覚を1週間程
度に短めに設定する。場合によってはさらに短くし、家族と連携し、必要に応じて入院治療も考慮する。認知療法を考える場合、治療で働きかけているの
は「自動機械」に対してなのか「世界モデル」に対してなのか、治療者が意識するといいかもしれない。
Ⅲ統合失調症のリハビリについて
統合失調症のリハビリは、残遺期の陰性症状に対して行うことが多い。その場合に治療者の恐れることは再発・再燃と自殺である。そこで薬剤はなるべ
く維持しようとする傾向がある。ドパミン遮断薬を維持すると、ドパミンレセプターのアップレギュレーションが起こる。つまり、薬剤で蓋をしているけれ
ども、実際のレセプター量は増えてしまい、潜在的な過敏さを作り出す。デイケアなどの場面においては、刺激はコントロールされていても、少しずつドパ
ミンを放出するので、潜在的な過敏さが形成されている人の場合、服薬を怠ったりすると再発再燃に至る。治療者はそれに対して薬剤を増量することがある
。するとまた蓋をされるレセプターが増えて、レセプターのアップレギュレーションが起こり、潜在的な過敏さが増大するという悪循環が形成される。
この悪循環を回避するには、まず薬剤を少し減らして、かつ、デイケアでの活動量を増やして、ドパミンレセプターのダウンレギュレーションを目標にし
なければならない。しかしながら、薬剤を減量することも、活動量を増やすことも、再発再燃につながるので、慎重かつ細心のプログラムが必要であり、容
易ではない。

Pathological Hypothesis of Schizophrenia: First/Second World Model, Time-delay
Hypothesis, Temporal
My Original Theory-2: Pathological Hypothesis of Schizophrenia: First/Second World Model, Timedelay Hypothesis, Temporal profiles of Neurons
Tadashi Kon(Shinagawa Psychosomatic medicine Clinic)
〒108-0075 2-14-10-10F Kounan,Minato-Ku,Tokyo,Japan
see also http://shinbashi-ssn.blog.so-net.ne.jp/2008-05-04
In this section, the pathological hypotheses studied by Dr. Kon are introduced in
order to explain (1)the process from ARMS to onset of schizophrenia,
(2)disturbances of ego characteristic of schizophrenia,
(3)depressive moods seen with schizophrenia.
First, a pathological model of the process from ARMS to onset of
schizophrenia will be explained. What a person considers to be proper
interpersonal-distance is thought to be relative to the sensitivity of his dopamine receptors.
If a person is sensitive to dopamine, he may tend to take larger interpersonal-distances.
Some people are sensitive to dopamine from birth (for example,
those who possess excessive dopamine receptors), and they have sensitive traits
when coping with the world and others. Even if
they have the same experiences as others, they tend to release
excessive dopamine which makes them suffer. As a result, they tend to
select a lifestyle that involves fewer interpersonal relationships.
In a life in which they tend to be solitary, they may
become familiar with the arts, nature, and animals. In this way, they
grow up with sensitiveness to dopamine and they acquire a lifestyle that
helps them avoid the onset of schizophrenia. However, in adolescence, living
conditions change greatly. “They are given roles and
assignments that require interpersonal relationships,”
“they become sexually mature,” and “they are placed in situations that require more assertiveness
and responsibility” etc..
Life and interpersonal relationships become increasingly complicated,
and they come to the point where their withdrawal strategy is no longer sufficient.
In the midst of this, strongly stressful situations related to “sexual affairs,
money, honor, and health” cause excessive dopamine to be emitted, and combined with high
sensitivity to dopamine, they face the crisis of the onset of
schizophrenia. In addition, it is easy to predict these kinds of crises exist prior
to the obvious onset. Psychotic-like experiences (PLEs, later ARMS :
at risk mental state), which are attracting attention recently,
possibly correspond to these situations.
Next is the pathological hypothesis of disturbances of the ego, which is
specific to schizophrenia. The animal’s nervous system, in general, forms the loop of (1)reception of
stimulation at the sensory organ→(2)conditional reaction in the
brain→(3)reaction through motor system, autonomic nervous system, etc.
→(4)real outcomes→(5)reception of stimulation at the sensory organ.
Since there is no part to confirm the generation of self-consciousness in this loop,
the sense of active control of the ego , an obvious experience in humans,
cannot be explained.
“The first world model” and “the second world model” hypothesis is introduced
here, for further discussion. For humans, “the first world model” is the same process of “(1)reception
of stimulation through
the sensory organ→(2)conditional reaction in the brain→(3)reaction through motor
system, autonomic nervous system, etc.,” as for other animals.
In addition, humans have “the second world model” in
the brain concurrently, and two kinds of signals from “the first world
model” and “the second world model” are compared. When there are
differences, “the second world model” will be modified to coincide with “the first world
model”. The function of “the second world model” to compare and transcribe the
“the first world model” resembles that of cerebellum transcribing kinetic
signals of cerebrum during exercise.
Further hypothesis is that a time lag exists between the two outputs from “the first
world model” and “the second world model,” and output from “the second
world model” is always begin adjusted so that it reaches the place where comparison is made
slightly earlier (than the first world model). Sense of active
control and sense of self in behavior, that is to say,
formation of ego-consciousness can be explained by this time-delay
hypothesis. For example, although the two compulsive computers give
almost the same conclusions, the second evolutionary newer computer
gives the answer slightly earlier and the older one reaches the same
conclusion afterwards. This time-delay generates the sense of active
control and the sense of self that humans experience.
Basically, “the first world model” is good enough for humans to live (as
other animals), but the appearance of “the second world model” generated
self-consciousness, which is the fundamental feature of humans.
Because self-consciousness has been generated at the latest stage
of the evolution, it can be easily destroyed. When self-consciousness breaks down,
the following are seen according to the Jacksonism principle; “negative symptoms of schizophrenia
triggered by the break down,” and “positive symptoms
caused by the loss of inhibition”.
Humans can confirm the existence of ego-consciousness because they
express their inner world through words, and other animals (to varying degrees by species) are
assumed to have gained some similar mechanisms through the evolutionary process as well.
Although animals cannot express themselves clearly, it is possible for them to have a sense of
active control and a sense of self.
People also behave unconsciously, when they are out of mind (for
example, people pass through the train station ticket gate without being conscious
of it). This is a situation in which signals from “the second world
model” are weak and, so to say, the brain is nearly in the “automatic-drive” state.
In addition, when people are concentrating intensely and showing
their highly proficient skills, signals of “the second world model” perfectly
coincide with those of “the first world model,” and by contrast,
signals from “the second world model” sometimes feel as if they are being
blocked out. People describe this situation using words such as “I did it
without thinking about it,” “as if in a dream,” ”my body
reacted automatically,” etc. Based on the “time-delay hypothesis,” free
will is an illusion, and disturbance of ego is an experience (filled with
pain) that is generated when illusion is lost. There are many theses
on “rivet experiment,” a passive-consciousness hypothesis, which is
related to this discussion.
Come to think of it, signals transmitted from each sensory
organ do not reach the brain’s processing site simultaneously.
But the arrival time is supposed to be adjusted to be simultaneous, and thus
a subjective real world is composed. In that case, processing sites
that adjust the time-lag of signals arriving from each sensory organ
are considered to exist in the brain. Similarly, it should
be possible to assume there are sites in the brain, where the signals from
“the first world model” and “the second world model” are compared, and
the time adjusted. Also, it is assumed that trouble at these
sites will cause a disturbance of ego.
When the output from “the second world model” arrive after those of
“the first world model,” the disturbance of ego occurs. According to the
amount and sort of delay, they can be “passivity experiences
(experiences controlled by others), part of obsessive-compulsive
experiences, auditory hallucinations, autochthonous ideas,” and so on.
As for autochthonous ideas, arrival of both output are assumed to be
almost simultaneous. These situations are the first stages of
schizophrenia. For example, auditory hallucinations are explained as
follows; when the contents of what the person wants to say, which are
output of “the second world model,” arrive after those of “the
first world model,” they are perceived as “others are talking” or
“made to listen to.”
Next hypothesis is that “the dopamine antagonist delays the output
of ‘the first world model’ and ‘the second world model’ each to a
different extent because of its pharmacological traits”.
Antipsychotic drugs delay the output of “the first world model”,
but it is assumed to delay those of “the second world model” only
slightly or not at all. This hypothesis would be able
to explain the mechanism of how medicines cure the disturbance of ego.
As facts concerning time-delay hypothesis and medicines’ effects, it
is possible to state the different effects of medicine on the mesolimbic
system and the mesolimbic-cortical system, or to give examples of
different effects to the prefrontal area. For example, aripiprazole is
said to inhibit dopamine at the mesolimbic system and increase it at the
mesolimbic-cortical system; it is possible to explain the medicinal
effect using time-delay hypothesis. As seen in the above discussion,
if we suppose the dopamine system has some role at the site in the brain
where two signals from the first and second world model are compared,
time-delay hypothesis combines with dopamine hypothesis.
As to the last theme, that is, a hypothesis on symptom of depression, localization of
the pathology is not adopted, and a patient’s condition is considered in
terms of neurons’ temporal profile. There might be a localized symptom of
depression caused by a certain site in the brain, but true mechanism is not
clear. The symptoms of depression in the course of schizophrenia can be seen
through all the stages from ARMS to far advanced stage to residual
phase. Usually, depression of ARMS and residual phase is related to
the negative symptoms of schizophrenia, and depression of far advanced stage
is related to the positive symptoms. Examined more precisely,
it is possible to understand as follows; at ARMS, people recognize
their sensitiveness and understand the differences between the world
and themselves at least to some extent, so they think it is dangerous
to express their inner selves without defense; they become passive in
relationships with others in order to avoid being hurt. This extends
to the symptoms of depression at ARMS. You may say, excessive caution resembles
depression. The symptom of depression, at the latter
stage of residual phase, also assumes the same mechanism.
On the other hand, at the far advanced stage of schizophrenia, the
patients are forced to face completely uncommon experiences,
and they experience serious damage and loss of ego.
Neurological mechanism of the symptoms of depression that
occurs at this stage isn’t clear yet. When the acute phase of
schizophrenia is calmed down by an antipsychotic drug, symptoms of
depression also improve. Therefore, the dopamine system tends to be
considered as a contributing factor to depression. However, it is
better understood as a result of sharply blocking increased dopamine at the receptors’ level. So,
the sharply increased dopamine is
assumed to trigger symptoms of depression. At the same time,
symptoms of apathy, which occurs along with Parkinson’s disease, are
well known as resembling the symptoms of depression. This is one example of
symptoms of depression accompanied by a decrease in dopamine. Once the
localization of pathology is clarified, it might be possible to propose a hypothesis
that explains these contradicting movements of the dopamine system.
This hypothesis best explains depressive symptoms in the early residual
phase. There, the mechanism that is common to the depressive symptoms
of bipolar disorders is assumed. “A group that responds to repeated
stimulation with increasing reactions” is assumed as a trait of brain neuron cells.
Because in the case of acute phase of schizophrenia and
bipolar disorders maximum stimulation is given to neurons,
the function of “a group which responds to repeated stimulation with
increasing reactions” is possible to break down.
The depressive symptom is supposed to start from here.
From this point of view, the depressive symptoms of schizophrenia
and bipolar disorders are classified into two categories; that is (1)results of
functional breakdown of “a group which responds to repeated
stimulation with increasing reactions,” and the breakdown is triggered
by excessive stimulation; (2)pathology of endogenous origin and positive
onset of depression. Dr. Kon’s hypothesis supposes the former symptoms.
In the case of medical treatment, medicine relevant to the dopamine
system are good for symptoms relating to time-delay, and medicine
relevant to the serotonin system are effective in aiding recovery of exhaustion
depression. When cognitive-behavioral therapy mainly works on
behavioral aspects, the target of therapy is “the first world
model” in the above hypothesis. Whereas, interventions that emphasize cognitive modification
mostly target “the second world
model,” and through them attempts are made to alter “the first world model.”
If therapists become very aware of whether to approach “the first
world model” through behavior or to get closer to “the second world
model” through cognition, there may be clinical merits.
If patients understand the above hypothesis through psychoeducation,
the therapeutical effect of cognitive-behavioral therapy
for their schizophrenia may increase.
On the other hand, SST tries to change “the first world
model” through behavior, of which the effect modifies “the second
world model,” resulting in desirable change in cognition.

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